59: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 22:52:56 ID:sCH9BGxY0


やる夫はATFの潜入捜査官のようです  “第二話:接触”


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暴力沙汰は日常茶飯事だという<ザ・プレイス>は、タハンガ地区に点在する多くのバイカー・バーの中でも最悪のところだった。
バーの内外で様々な武器を使った暴力、乱闘事件が頻繁に起こっており、警官が令状や銃、それにバックアップなしに足を踏み入れる
ことはまずありえない場所だ。
店の前には6,7台のバイクが止めてあり、店に近づくごとに正面の入口からハードロックが大音量で聞こえてきていた。

60: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 22:55:03 ID:sCH9BGxY0

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  ヽ、,,__,,,,-'". ゙''/=.、/  l/=.| ,,-''-‐ニニヽ、ヽ |ノヾ,  |
        ,-'''',,ニヽ、,,,,,|、/ゝ/" ̄ ̄ヽ、\/ヽ,/|ニ二''ヽ、
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      |、ヽ ヽ'''"-''"ヽll  ゙'|、l、 l l----、/ //|、,,,‐、゙ヽ,,ヽ" ノ ノ、
     ヽ-/-'"'""'," |||  |,,ヽ\"| l,,,l /ノ,」  |||゙゙', ゙ヽ、、'-'
     =,"'"    /  |ノ  | ||゙''ヽニニ‐''"l| |  ヽ|  ゙,   ヽ、l
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私はそこに近づいて行く時、胃に穴があいたような気分を味わっていた。
以前、潜入捜査前に感じていたのと同じ、崖っぷちに立っているような感覚、神経がピリピリし、びくついていて、出来れば虚勢を張っていたい気分だ。
私はバーを少し通り過ぎ、バイクを止めるためにUターンした。
だれもこちらを見ていなかったことに安堵していた。
銃は携帯していたが、かの悪名高いモンゴルズに初めて会うのだ、不安はぬぐい切れなかった。

61: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 22:55:57 ID:sCH9BGxY0

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                               ,! L.-ヾ
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                    / ̄ ̄\    ,.-'´  ,.-'"
            .      /       \  |,.- '´| |    />
            .      /_ ノ  .ヽ、_.   \   |,i   / r´  __
                |(ー)  ( ●)    |      く/Ll  //
            .     \(__人__)    /           レ'!_l    __
       斤!            '      ヽ                //
        Yl    _  , -‐ '"        ハ               レ'!_l
         !ハ ァf’     _,  <       ハ
        /二ニ>-く ̄ __ __,)       ヽ_  -‐ ニ二ニ≡ニニ>:、
        /ハ __/>〉'´ >‐─ '     > '"     __ -ァァ斤ァ⇒くハ
      ∧二フに)く   〃        /  ,ィfくr< ̄     ノ二ニハ-' 几人
      !く←‐‐ '  l  {l      __/ <ハハハl  _ , r<二三三三弐フー'
      マ  , -―く〉__ハ     广フ――ォヘママlr ' lマニニニニフ人  ヽー―ァ
     ィ7‐く弐弍ミヽマ:ハ     マフラ「彳彡クNl!:::::人,jニ斗 '"¨   \  マ厂
   /l:∨ ハ___ 彳ノ人ゝヘ    マシ:/ィ(r '777!> ' " ̄  ̄ `
  / /7:/f'7 (`マニ'彡'T77_(ハ   l,ヘ\」l{:く//  ィニニ>   \
  ハ/ ハi]ハ人 ヽ_}TT!く人__l,ノ マー' /7广T7  /        ヽ  ヽ
 :! l 込フ   >  二二ー―( _  ィ^ヽ://∧ lハ /    ニニ、  ハ
  _   /  >―-く二二フクlア7ァk!:{ ∨  ハ   〃   ハ   l{    l
  マ ー '"  /    ` ̄ ̄`ー┴┴'^ー┤  l|   {l  o ) !   l {
  ` ‐- '"                  !  !ハ   マ   :ノ   :!ノ   l
                            マヽ         :/
                            ヽ   __   :/   /
                          \      ̄
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       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \__ 、  \
     ,.イ      ,イ
   ヾイ     /{ { ヽ、ト、
    {  .ト{\ヽ',  メ __\
     ゝ  |"ひ)  \  イびゞ \ ヽ
     ノ  ト、"´      ー ノ //
    /.  {   ゝ     /  レ//
    {   ヽ   ー=-  ( /    レ´TTア
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      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |
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店の入り口少し前にバイクを止めてから、スーに先に降りるよう促した。
さすがに先ほどのように無様にバイクを倒そうものなら、最初から最悪の印象を与えることになるためだ。
スーはバイクと私を地面に引き倒すこともなくシートから降りたが、その間私は必死にバイクを抑えていた。

62: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 22:57:25 ID:sCH9BGxY0

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        /      `
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       _.>  ____  <
      /⌒ヽ        ィヽ
      / rー'ゝ _=≡≡=_ 〆ヽ
    /,ノヾ ,>´ \_/`ヾ_ノ,|
    | ヽ〆.   |  |   |´ |


バイクを降りると、シコーニーの黒いポンティアックがやってくるのが見えた。
バックアップは付かず離れずの距離を保ちつつ、追尾していると悟られてはならない。
彼は、捜査の鉄則をよく守っていた。

63: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 22:58:17 ID:sCH9BGxY0

            ,---、___ , 、
            イ. . . /  i   `i
          /. . . . /   i. . . . . ヽ
        / . . ン. /   .i ヘ. . . .ヽ
         /  ` v´__ L / . . . . i
          |\   (Arai )   . . . . .|
       | : :` 、_   ̄ ̄    , ノ | .|
       l   : : : ̄.: ー.― ´. : . :.|. !
         ト 、 : : : : : :      . : /./
        ゙. ヽ、: : : : :     ,. :イ/
          ヽ  `ー---― ´ ./
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            `ー-― ' ´

私はヘルメットを取り、ミラーの一つにかけた。
いよいよ、ゲーム開始の時間だ。

64: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:00:01 ID:sCH9BGxY0

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驚いたことに、ごみ溜めのようなバー<ザ・プレイス>は、1860年代のポニー・エキスプレス(※1)の停留所だったこともある、由緒ある建物で営業していた。
バーの上にはワンルームの貸し部屋が5、6部屋に共同トイレがあった。

(※1)1860年から1861年まで運行されたミズーリ州セントジョゼフからカリフォルニア州サクラメントまでの郵便速達サービスのこと。
    大陸横断鉄道ができるまで、アメリカの東西を結ぶ重要な通信連絡手段であった。

65: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:00:46 ID:sCH9BGxY0

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バーの中は、店内に玉突き台を二つに、ダーツ用のスペースまであるため、非常に窮屈だった。
木の床はポニー・エキスプレス時代に張られたように見えるほど古ぼけ、その上長年バドワイザーや小便や下呂を吸ってきたせいですっかり痛んで
おり、1階のトイレにある二つの便器は汚れきっていた。
壁はモンゴルズのカラーであるブラック&ホワイトに塗られており、モンゴルズに敬意を表してバイカーグッズを色々飾っていた。

66: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:03:15 ID:FSaVHH2I0
            __..............__
            , ''",: : : : : : : 、`ヽ、
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       |::ト、_i     ,     i_ノ :|
       |: :i:i ヘ   __   ∧/: :|
       |: :i ヽ__ヽ. ` ‐ ´ ..イ__/ i: :|
       |: :i: :| `i个> <个|~ |: i: :|
      _|__i__」  |:ノ     N   |__i__L_
      入:::::::::i  |         |  i::::::::::人
     ,' i:::::r‐ト-イ        .ト-イ-、:::i  ',
     ,'  ムャ⌒i : |――――イ: : i⌒ォム. ',
     i   Yゝ,'; : |i:::::::::::::::::::::i|: : :',イ./  i
     |   {::::i:i : :|i::::::::::::::::::::::i', : ; i:::i    |
     |   .i∨i: : |::::::::::::::::::::::::i| : i |/   |
     ',    i|::i : ii:::::::::::::::::::::::::i|: : i:|     ,'
           カレナ(ナギ)

店のオーナーであるカレナは根っからの“バイカーおたく女”で、当時刑務所に入っていたザ・キッドというモンゴルズメンバーの“オールド・レディ”
つまり女房であった。彼女は背中に「Possession of the Kid(ザ・キッドの所有物)」というタトゥーを入れていた。
皮肉なことに、カレナの父親は引退した警官だった。

67: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:06:19 ID:4R6hVcY60

           ,. - ── - 、
       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \    \
    ,.,.イ      ,イ     \     \
   ヾイ    /{ { ヽ、ト、  \     l
    {  .ト{\ヽ',  メ __\       l
     ゝ  |"ひ)  \  イびゞ \ ヽ- 、 l
     ノ  ト、"´,.     ー ノ ///  |       ほら、あそこにいるのがモンゴルの連中よ
    /.  {   ゝ     /  レ//  |
    {   ヽ  ヽ⌒>  /    レ´TTア⌒>、
    V{   \ └ ´  / ,.イ/  /ll |   /~\
      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |  /    \
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |  |      \
        /{{ |   |===|     || |  |       )


       ___
     /\:::::::::/\.
    /:::<◎>:::<◎>:::\
  /::::::::⌒(__人__)⌒::::::\ おい、馬鹿よせ!一体何のつもりだ、あせるんじゃない、二人とも殺されるお!(小声で)
  |     ` ー'´  u   |
  \  u   :::::     /
  /   :::::::::::::::::::  :巛 ̄ヽ
  /  ,        :〈⊃ ̄( .}:


私はスーの後から店に入ったが、店内は薄暗く、タバコの紫煙が立ち込めていた。
カウンターの奥でビールを手にしているフルパッチのモンゴルのメンバー二人を含む常連たちで店は混み合っていた。
その姿を見たスーは、あろうことかあからさまに彼らを指さしたため、思わず心臓が止まるかと思った。
幸いにも彼女の露骨なふるまいについては、誰の目にもとまらなかったらしい。
私は、彼女が根っからの“トウィーカー”であるのと同時に、極めつきの愚かものだったことを思い知らされた。
私は背後ももちろんだが、スーの行動にも注意を払わなければならなかった。

68: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:09:30 ID:4R6hVcY60

日 凸  ▽ ∇ Ⅱ
≡≡≡≡≡≡≡  ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 Ⅱ ∩ [] % 曰 (゚Д゚ ;) < 注文は!?
_________|つ∽)_  \_____

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 ━┳━   ━┳━
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄

               ____
             /      \
           /u   ⌒   ⌒\  バド(バドワイザー)を2本!!
          /   ( ●) ( ●)ヽ
            l      ⌒(__人__)⌒ |
          \      |r┬‐|   /
          /     ` ⌒´   ヽ


バーテンダーはこのあたりの出のいかめしい顔つきをした年かさの男だった。
ギターの大音量をついて、バドワイザーを注文した。
今夜は一晩中ここでビールをちびちびやっているつもりだったからだ。
急いでは事を仕損じる、今夜は顔だけ見せてじわじわと責めていくつもりだった。

69: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:11:26 ID:4R6hVcY60

           ,. - ── - 、
       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \    \
    ,.,.イ      ,イ     \     \
   ヾイ    /{ { ヽ、ト、  \     l
    {  .ト{\ヽ',  メ __\       l
     ゝ  |"ひ)  \  イびゞ \ ヽ- 、 l
     ノ  ト、"´,.     ー ノ ///  |       ねぇねぇ、もう一本飲ませてよ!
    /.  {   ゝ     /  レ//  |        あ、私、皆と挨拶してくるから!
    {   ヽ  ヽ⌒>  /    レ´TTア⌒>、
    V{   \ └ ´  / ,.イ/  /ll |   /~\
      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |  /    \
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |  |      \
        /{{ |   |===|     || |  |       )

        .____
     ;/   ノ( \;
    ;/  _ノ 三ヽ、_ \;
  ;/ノ(( 。 )三( ゚ )∪\;  (空気よめよ、おめぇは!)
 ;.| ⌒  (__人__) ノ(  |.;
 ..;\ u. . |++++|  ⌒ /;



が、スーはそんな気はさらさらなかったようだ。
三秒もたたないうちにビールを飲み干して、もう一本飲ませろと大声で叫んだ。
トラブルの予感がしたが、仕方ないので飲み代として10ドルを彼女に渡してやった。
連邦政府の金が、瞬く間に彼女のビールに代わっていった。
そのうちに、スーは私を置いて店内の常連たちと抱き合ったり、話し込んだりしていた。

70: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:12:37 ID:4R6hVcY60


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              /:: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::    \
            ,'    、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ      ',
.            /.     `>、_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,>' ´       ∨
           /    ...::::,z=z≧ 、:::::::、::::、::::,:::::,ィ彡≦ `ヽ::::::..       ∨
          ,'     ::::〈  {{(::)}} ミ丶〈 ゞ"イ /´{{(::.)}} ノ::::       ',  !
           ,       ::::ゝ、ゞ='' ノ,彡:::: :  ミゝ、ゞ=''' ":::        i
.         {       ::::::::::::::::/::::::::: :     `ヽ:::::::::::            }
         ',           :::/:::::::::::::: :       ',           l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そして、スーがついにカウンターのモンゴルたちのところへ向かい始めた。
いよいよ正念場、酔いが一気に冷めていく。
スーが両手を差し出し、最初のバイカーと抱き合い、もう一人とも抱き合った。
どちらも抱きしめ返さなかったが、むげに彼女を追い払うこともしなかった。
やがて、彼女が振り向いて私を手招きした。

71: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:14:18 ID:4R6hVcY60

           ,. - ── - 、
       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \    \
    ,.,.イ      ,イ     \     \
   ヾイ    /{ { ヽ、ト、  \     l
    {  .ト{\ヽ',  メ __\       l
     ゝ  |"ひ)  \  イびゞ \ ヽ- 、 l
     ノ  ト、"´,.     ー ノ ///  |       やる夫、こっちはロッキーよ
    /.  {   ゝ     /  レ//  | 
    {   ヽ  ヽ⌒>  /    レ´TTア⌒>、
    V{   \ └ ´  / ,.イ/  /ll |   /~\
      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |  /    \
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |  |      \
        /{{ |   |===|     || |  |       )


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         ___彡':::`¨¨`\\::::::::::\:::::::::::::::: ⌒ヾV'W/ )
          '⌒㍉ヽ:::::::::::::::::::\\::::::::::\::::::::::\ :::::|::: //て
        ⌒ヾ:::::::`ー===ニニニ\\/" /`ヾ:〉》::::|:://:::/
 .          \):\::::::::ー-===ミ/  /    //\j///し
              ',::::',\:::/⌒ヽ彡  ̄/ ̄ミメ//  `7刈く
              ',:::|:::::::{ ⌒) "    弋戎ハ\  // |⌒\
            {从:::::::} イ       `ヾ ⌒/厶,,j   }
               〉:::\:○'                 {ネ/   丿
          /`ヽ//〉^Y                ∨
          /  / ,//           \ _  _   ゝ
_ ..  -‐==彡`ヽ/'⌒//、             ` ーヽ_r ´
. : ̄ ̄` 、::::::::::/   〈/ . :\  \          ┘
  .:\ ̄ ̄\/       . : :\  \     /
 . . . : :\  . : \       . :/-=ミノ\ _,ノ
    . . : : \  . : \     . : :/:::::://)
     . . : :\  . : \ . : :.:/^Y//
         . : :\  . : \.:.く::::::/∧\

  モンゴルズバイカー ロッキー(ランサー)


    +       ____    +      。 ゚。
      +   /⌒  ⌒\ +     (,.)´)´)´))
          ./( ⌒) .(⌒) \    |~U~゚ ̄|゚o   会えてうれしいお、ロッキー!
    +   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ .「ニ|:/::u ::::| O
        |       トェェェイ     | { |     |
     +  \    `ー'´     / i.L|______|  +

ロッキーと呼ばれた男は眉をひそめて威嚇するような表情をしながら、挨拶代りにビール瓶を私のほうに傾けた。
私も同じようにビール瓶を傾けた。
彼はメキシコ人、というよりもネイティブ・アメリカンみたいな顔をしていた。
彼は黒づくめで、先住民の戦士のように、尻まで届く長い黒髪を編んでおり、さらにベルトの代わりに太いチェーンを巻いて
そこにハンティングナイフをさしていた。
筋金入りの悪党という顔つきではなかったが、後で聞いた話では、彼はまだ三十代半ばくらいで、クラブに所属してから一年少々しかたっていなかった。

72: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:16:00 ID:4R6hVcY60

         ,. -ー冖'⌒'ー-、
       ,ノ川川川川川川\
       川,r‐へへく⌒'¬、川ヽ
       {ノ へ.._、 ,,/~`  〉川}   
      /プ ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く川   
    ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐'  リ,イ} 川  こっちがランシッドよ(スー)
   / _勺 イ;;∵,_ _、∴'∵; 川川
  ,/ └' ノ \   こ¨`    ノ{ー--、______
  人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
. /   |/ |::::::|、       〃 /:::::/    ヽ
/   |   |::::::|\、_________/'   /:::::/〃
!     l   |::::::|  ` ̄ ̄´    |::::::|/
    ノ\ |::::::|            |::::::|
        ランシッド(おたく)

    +       ____    +      。 ゚。
      +   /⌒  ⌒\ +     (,.)´)´)´))
          ./( ⌒) .(⌒) \    |~U~゚ ̄|゚o   会えてうれしいお、ランシッド
    +   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ .「ニ|:/::u ::::| O
        |       トェェェイ     | { |     |
     +  \    `ー'´     / i.L|______|  +

ランシッド(臭いなどが不快な、の意味)、とはまさにぴったりの名前だった。
もつれた長い黒髪が肩の下まで伸びていて、その髪の毛には爪のあたりと同じようにグリースと泥が酷くこびりついていた。
おかげで背中のほうのパッチが黒ずんでしまっていた。
彼は、首に彫ったUZI(イスラエル製短機関銃)というタトゥーから始まって、体中タトゥーだらけであった。
その大きなビール腹には、黒い大きな文字でMONGOLというタトゥーが入れてあり、両腕はスリーブ・アウト(※2)であった。
後に聞いた話では、彼はクラブの彫師(入墨を入れる職人)でもあった。

(※2)腕全体にタトゥーを入れているため、それ以上墨を入れる余地がないこと。

73: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:18:07 ID:4R6hVcY60

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               .__
              ./0//
            ./ /´
           .,.< /
         ///||
         /////,リ
       /////
    ./'//≫'´
   /'/,≫'´
  .'='-''´


       ヽ           {        {           ヽ
        / /         ).      ノ              }
        ヽ: 二 r- ≧=-≧=-イ.       イ _      _    〈
        { 「示ユ       {.      冫´  _,-___ヽ  冫
        !爻爻}       !.      ヽr≦  { r―‐y  ̄丁/
        ' ,}ハ>l 丁 ̄´   T       |     |-云-|    }
          }/\| |     !          ',    !≧≦リ_,イ
          |><| |     l.         丁  i l 芥ヽ| i {
          |>/| |     {.          i   | |><| | |
        リ´\} |       l          |   | |、 /| | |
         /⌒<' リ       {           |   | |/ \.| | |
.       /-⌒</ /        ハ          |   | |ヽ/ l | !
.     〃‐'`<  /       /  i.         |   | |´⌒`| | {,
 , -≦ ニ寸 /´.       /  }.        !   | |冫<| |  }
 {       Y    ___〃_ィ         ',  , /><{ } イ
 !-------- !--‐ '´,=r-n__rュ_/           } // > <ヽヽ |
 '-冖-冖-冖-冖-'´                    |, -、二二二,-V
                             {         !
                            i‐------‐ '´ リ
                            廴n_rL_rュ__「´

ランシッドもロッキーと同じく、黒づくめの格好で、腰に太いチェーンとハンティングナイフをつけていた。
このチェーンとナイフがモンゴルズのフルパッチの標準装備であることは、あとで知った。
また、ランシッドの履いている黒いブーツのつま先はスチール製で、その先端にはクロームのスパイクをつけていた。
足蹴りする相手をズタズタにしてやるためだ。
ランシッドはいつも戦闘に備えていて、いかにも険悪な印象だった。

74: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:19:01 ID:/0.k/uhg0

           ,. - ── - 、
       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \    \
    ,.,.イ      ,イ     \     \
   ヾイ    /{ { ヽ、ト、  \     l
    {  .ト{\ヽ',  メ __\       l 彼、私とはけっこう長い付き合いなんだ。
     ゝ  |"ひ)  \  イびゞ \ ヽ- 、 l 彼モンゴルズに興味があるって言ってたからあなたたちのことを思(ry
     ノ  ト、"´,.     ー ノ ///  | ペラペラペラペラペラペラペラペララペラペラペラペララペラペラペラヘラペラペラペラペラ
    /.  {   ゝ     /  レ//  | 
    {   ヽ  ヽ⌒>  /    レ´TTア⌒>、
    V{   \ └ ´  / ,.イ/  /ll |   /~\
      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |  /    \
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |  |      \
        /{{ |   |===|     || |  |       )





            ¨¨¨¨¨   、
         /  i l! |      \
         ′u | | |l !      u. ヽ
      /     !   (___人___)   }  (まずい)
       i u      !ililililil|   /
      !        {ililililiノ  /
        ゝ          イ..ノ}
         7 ..ノ}      ! ノ
         /  .ノ     |´
          /          |

スーは脳みそが働く以上のスピードでしゃべり続けていた。
協力しようとしているのはわかるのだが、後先考えずに夢中で喋りまくっていれば墓穴を掘りかねない。
彼女は私たちが長い付き合いで、私のことをよく知っていると言い募っていたが、私はその言葉に大いに不安になっていた。
見てくれが悪く、いかにもヤク中の彼女と長い付き合い?
明らかに見破られそうな嘘をベラベラまくし立てている彼女を、何としてもここから連れ出さねばならなかった。

75: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:19:51 ID:/0.k/uhg0

      ____
    r、/u ⌒ ⌒u\
    |.l1 (● ) (● )ヽ
   .|^ )u (__人__)  |    なぁ、スー。そろそろいかなくちゃ。やることがあったんだお?
  .ノ ソ、_ ヽノ _/ ̄`!
  /  イ         イ7 _/
  {__/\        ヽ {



            r、\ r-、
      /^ノrー─::::\} }ノノ ヽ
   /⌒r>O-==ニニニヽヽ└‐_ }  _
 r-ゞ/ー´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :` `ー 、 7:.:} }Vヽ`ー- 、
 ⌒/ .:.:.:.:.:.イ:::∧::{.:.:.:.:.:.:.:.:.∧:7: ://:::}      `丶、
   |.:.:.:./{:\{::{ ヾ`ヽ、:.:.:.:.:\}ヽ`L=´         .i え、なんかあったっけ?
   {.:.:.:.|Yひi   .イび 、i:.:.:./ ∧>ァー、_,, --   j
   .>:.:.ゝ ー´r'   ー‐´/:.:/ /:.:.r´  ノ      /
  /:.:.:.{   r=-、__   /.:.:ム/.:.:.:}      _,, - ´
  {.:./.:.:\  >_ / /.:.:.:/.:.:..:.: :∧   __ノ´
  ヾ{.:.:.{:.:.:.L__.ノ.:.://::/:./}}:.:} /ヽ.
    ヾ∨/ヾ{:::::::{/_///::::::}}:.:|   }

スーに店から出るように喋っても、彼女は首を回して大笑いして、いやだ、と態度でしめした。
アルコールとメタンフェタミンで、彼女は完全にパーティ気分に浸ってしまっていたのだ。
ある意味、ここは彼女のふるさとみたいなものだ。
彼女はすっかり腰を据えてしまっており、帰るつもりなどこれっぽっちもないようだ。<br>

76: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:20:52 ID:/0.k/uhg0
          ____
        /u   u\
      / _ノ   ヽ、. \
     / (―)u (― )  \  さぁ、もういいだろう? 帰るお
    n|i 7   (__人__)    n|
  l^l | | l ,/)  ` ⌒´    l^l.| | /)
  ', U ! レ' /   ー‐     | U レ'//)
  {    〈         ノ    /
  ..i,    ."⊃    rニ     /
   ."'""⌒´       `''""''''


           ,. - ── - 、
       r'つ)∠───    ヽ
      〆⌒  ̄ ̄ ̄ \__r 、  \
     ,.イ      ,イ    \ヽ,\rv-,
    ヾイ    /{ { ヽ、ト、  \Y <ノノ\
    {  .ト{\ヽ',  メ  \  } ⌒ヽ }へ         え~、まだいいじゃな~い?
     ゝ  |,ノ  \    ヽ、\ ヽ- 、ノ   // >=     ちょ、ちょっとー!
     ノ  |-―`  ,.´―-   ノ ///\/ /    \
    /.  {   、      /  レ//  } Y´      \
    {   ヽ  、_,、__,.   /    レ´TTア⌒>、_    \
    V{   \ ヽ | / ,.イ/  /ll |   /≦__    }
      V{   >ー┬|/  ! ,.イノ || |  /   ̄ ̄ ̄  /
       リヽイ|   /:| l _|' '´  || |  |     _/
        /{{ |   |===|    || |   __/

緊張しながらさらに数分過ごし、私たちは出口に向かった。
まるで言うことを聞かない犬を引っ張るように苦労はしたが、彼女も外に連れ出すことに成功した。

77: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:21:13 ID:/0.k/uhg0

           _-─―─- 、._
         ,-"´     ゝ   \
        /              ヽ
         /       ::::/::::::::\::ヽ
       |       / ヽ `::::´ /`ヽ  ふぅ。先がおもいやられるお
        l       ( ○ノ::::::::::ヽ○.;l
       ` 、        (__人_)  .;/
         `ー,、_         /゚
         /  `''ー─‐─''"´\o

夢うつつの世界から、現実に引きづり戻されたような気分だった。
モンゴルズとバイクで一緒に走ることも、殴り合いになったわけでも、取り返しのつかないミスをしたのでもない。
だが、何かが先に進んだわけでもない。
モンゴルズに対する潜入捜査の最初の夜は、こんなふうにあっさりと終わってしまったのだった。


続く

78: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:23:19 ID:/0.k/uhg0
本日の投下は以上となります。

79: 名無しのやる夫だお 2013/08/30(金) 23:29:56 ID:MaK42FOg0
乙です
○ャブ中は何かと喋りまくるからな~

80: 名無しのやる夫だお 2013/08/30(金) 23:33:22 ID:ZNfHF6Y60
おつおつお

この淡々とした調子、割りと好き

81: NH ◆aYcZxkkPoM 2013/08/30(金) 23:36:39 ID:/0.k/uhg0
>>79
ありがとうございます。
スーの場合、かなり重度の中毒者だったみたいでしたからね。
元ネタの本を読んでるとき、こいつどんだけ壊れてるんだって思いました。

>>80
ありがとうございます。
あまり多く書きこまない上に味もそっけもない書き方しかできてないんじゃないかと心配してましたので、とてもありがたいです

82: 名無しのやる夫だお 2013/08/31(土) 00:18:37 ID:ntZF4SGo0

何が悲しくてこんなアホを頼りに潜入せなアカンのか



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やる夫はATFの潜入捜査官のようです 目次

転載元
やる夫はATFの潜入捜査官のようです
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